フリーランスの翻訳者をしていると、たまに「翻訳の仕事って稼げるの?生活できる?」といった質問をされることがあります。結論から言うと、やり方や実力しだいなところもありますが、ちゃんと稼げます。平均的なサラリーマン以上の収入を得ることも可能ですし、なかには年収1000万円以上稼ぐ人もいます。
しかし、一般的な翻訳という仕事のイメージは、「あんまり稼げなさそう」というものではないでしょうか。また、「継続的に、ある程度まとまった量の仕事がないと生活できないでしょ?どんな風に仕事ももらってるの?」というのが実際に疑問に感じるところだと思います。
翻訳という仕事をやってみたいと思う人には非常に気になるところでしょう。しかし、以前の投稿でも説明したとおり、翻訳分野によっても報酬の発生の仕方は違いますし、副業なのか専業なのかによっても収入は大きく違ってきます。
そういうわけで、分野やワークスタイルをある程度考慮しながら、今回はその辺を説明できればと思います。
駆け出しの頃に稼ぎやすい分野と稼ぎにくい分野
少し乱暴な言い方かもしれませんが、駆け出しの頃は特に、分野によって稼ぎやすい分野と稼ぎにくい分野があります。以前の投稿でも少し触れましたが、市場の需要の大部分が集まるのは「実務翻訳」の分野です。
一方、映像翻訳や出版翻訳は、比較的需要が少ない上に、翻訳者の訳文の個性や仕事との相性もあり、新人が仕事を獲得してうまく次につなげるのが難しい分野だと言えます。新しい仕事が入った!と思っても、次の仕事までに間が空いてしまうようなら別の仕事と兼業せざるをえません。
実際、映像翻訳や出版翻訳をやりたいけど、まだ継続的な依頼がないから別の仕事もしている、というのはよく聞く話です。また、せっかく翻訳者を目指すんだから複数の分野の翻訳をかけもちして生計を立てよう、と考える人もいます。
つまり、映像翻訳や出版翻訳をやりたいけど、仕事の間が空くから、その間は実務翻訳もやっているというケースです。
実際、私の知り合いにも出版翻訳をやるために最初は実務分野とかけもちで仕事をしていた人がいます。2~3年のうちに出版翻訳の依頼が増えて、今ではすっかり売れっ子の出版翻訳者さんになりましたが。
受注が安定しやすい実務分野だが…
以前の投稿でも書きましたが、実務翻訳は基本的にビジネスに関する翻訳を扱い、比較的需要も多い分野です。その点ではもっとも仕事にしやすい翻訳分野で、安定的な受注を確保できれば専業で続けていくことができます。
しかし、実務翻訳者になるのが簡単かと言うと、やはりそんなことはありません。特に業界未経験から実務翻訳者になるのは、難しいところもあります。努力がなかなか仕事に結びつかず、途中でやめてしまう人も多く見てきました。
どのようにして最初の仕事を獲得し、それを継続的な依頼につなげていくのか?そのための戦略が重要になってきます。というわけで、次回の記事ではそのあたりをテーマにしたいと思います。
また、ブログではいろいろと書いていますが、新人翻訳者が得ることのできる年収例なども盛り込み、ブログでは書けない・書ききれない内容については、コンパクトな約45分のオンライン講座にまとめて公開しています。ご興味がありましたらぜひこちらもご覧ください。