フリーランス翻訳者になる前の独立準備って、何をする?

翻訳学校で翻訳を学んだり、専門知識を身に付けたり、翻訳業界での実務経験を積んだりして、いざフリーランスの翻訳者になるぞ!と思ったとき、独立前の準備はどんなことをするんだろうか?というのは真っ先に出てくる疑問です。

そこで今回は、フリーランスの翻訳者になる前に準備しておきたい最低限のポイントについて説明します。

仕事用のパソコン

まず、作業環境の準備として、仕事用のパソコンは当然必要になります。では、翻訳作業用にはどんなパソコンを用意すればいいのでしょうか。

これについては、どのような分野の翻訳作業をするかによって必要なパソコンのスペックも変わってきます。

たとえば、映像翻訳を専門にするなら、動画を扱うことが多く、比較的サイズが大きいデータを格納できるストレージが必要になったりもすると思います。

また、実務翻訳ならOfficeソフトや翻訳支援ツールがスムーズに動作する性能があれば十分かもしれません。

ただ、個人的には実はそういったこと以前に、次のような使い方を十分に考慮したうえでパソコンを選んだ方が良いと思っています。

  • 仕事専用
  • セキュリティ対策やバックアップ対策を施すことができる
  • 翻訳作業の処理効率を上げる

仕事専用にする理由

今持っているパソコンをそのまま仕事用にも使って、プライベートにも仕事にも1台のパソコンで済ませたい、と思ったりする人もいるかもしれません。

しかし、仕事とプライベートの両方に同じパソコンを使用してしまうと、セキュリティなどの管理が難しいですし、稼働させる時間が長くなるのでその分壊れやすくなります。

プライベートでよく知らないプログラムをインストールしてみたらパソコンが起動しなくなったとか、ウィルスに感染してしまったという話はよく聞きます。

なので、パソコンは仕事専用のものを用意するのがベストです。

そして実は、毎日翻訳作業に使用しているだけでも、パソコンはたまに壊れます。毎日何時間も稼働させているわけなので、当然かもしれません。

これは私自身も経験があるのですが、仕事をしていたら動作が少しずつ不安定になり、最終的にはパソコンが起動しなくなってしまったことがあります。

ちなみにこのとき、仕事用のデータはバックアップしてあったため、別のパソコンで作業を継続できました。

(ちなみにその後、パソコンは修理に出しましたが、ハードディスクの障害が原因だったことが判明しました。)

そういうこともあるので、フリーランスの翻訳者さんは仕事用に2台以上パソコンを用意していることも少なくありません。

私が知っている翻訳者さんのなかには、同じ内容のパソコンを2台準備して、普段はそのうちの1台だけを使うという翻訳者さんもいました。

これはかなりの徹底ぶりだと思いますが、翻訳作業が継続できなくなれば仕事を受けることができなくなり、売上もなくなるわけなのでそれくらいの意識があってもいいのかもしれません。

セキュリティ対策やバックアップ対策

私が経験したのは単なるハードディスクの障害が原因で起きた故障だったので、修理に出せばすぐに直りました。しかし、もしこれがウィルス感染だったりするとどうでしょうか。

仕事で扱っているデータが流出したりして、情報漏洩ということにもなりかねないので、もっと大変なことになります。

というわけで、やはり翻訳作業用のパソコンには、ウィルス対策ソフトやセキュリティ対策ソフトをインストールします。

また、それだけでなく、バックアップ対策をしておくのが良いと思います。このバックアップにもさまざまな方法があります。

ファイルやフォルダ単位でデータを別のハードディスクに保存する方法もあれば、Windows自体が起動しなくなった場合に備える方法、パソコン全体の状態を記憶しておき、その状態を回復する方法などがありますが、有償のソフトを別途購入しなくてもこういった対策は実現できたりします。

検索したり購入元のサポートサイトなどを確認すると、Windowsでこれらを実現する方法はたくさん見つかりますので、十分に対策をしておくといざというときに安心です。

また、パソコンの保証や修理を迅速にしてもらえるサービスに入っておくのもかなり効果的だと思います。

ちなみに私は作業用のパソコンが壊れたとき、エプソンの修理サービスに入っていました。故障したパソコンを宅配便で送ると、修理センターに到着してから1日で修理してもらえるサービスです。

このおかげで確か、故障したパソコンを金曜日に送ったら、週明けの月曜には修理されたパソコンが戻ってきていました。

メインのマシンが故障したときには、仕事ができなくなりそうで泣きそうになりましたが、このサービスのおかげですぐに復活したマシンが返ってきたときにも安心してまた泣きそうになりました。

パソコンの購入時にこういったサポートが付いていたりもしますし、付いていない場合は別途追加したりもできるので、購入するときには併せて検討するのが良いかもしれません。

翻訳作業の処理効率を上げるパソコンとは?

翻訳作業用のパソコンを準備する段階で、非常に重要、かつもっとも気付きにくいのがこの翻訳作業の効率を上げるパソコンを選ぶという観点です。

まず、翻訳作業用にノートパソコンは選んではいけないと思います。

「デスクトップよりもノートの方が私は作業が速いし正確だし、それに疲れにくいんだ!」という人は別ですが、普通はどう考えてもデスクトップの方が作業しやすいはずです。

なので、パソコンの種類としてデスクトップを選ぶのは当然ですが、さらにディスプレイも大きいものを選ぶことが必要だと思います。

小さいと作業しづらく、それが作業スピードに影響する場合があるためです。

翻訳者の仕事の効率というのは、端的に言えば、いかに速く正確に質の高い訳文を入力できるか、ということで決まります。

小さなパフォーマンスの低下も、何時間、何日間、何年間…と作業をするなかで重なると大きなロスにつながりかねません。

翻訳者さんのなかには、大きいディスプレイにするだけでなく、大きいディスプレイを2つ使ってデュアルディスプレイで作業する人もいるほどです。

周辺機器も仕事用のものを

パソコン以外にプリンタを準備したりすると思いますが、翻訳作業用の周辺機器としては、それだけでは十分ではないと思います。

取引先とデータのやりとりをする際、印刷して記入したものをスキャンし、それをPDFにするなど、事務的な手続きではそういった処理も必要になることがあります。

なので、そういった処理にも対応できるように不足している周辺機器を準備したり、複合機を新しく購入してみても良いかもしれません。

ソフトウェアの中には比較的高価なものも

翻訳作業で必要となるソフトウェアのなかには、高価なものもあります。

たとえば、実務翻訳では翻訳支援ソフトが必要になる案件がありますが、翻訳支援ソフトとして代表的なSDL TRADOS STUDIOのフリーランス向けライセンスは10万円ほどします。

こういったツール類は、翻訳分野によっては不要なこともあるので、その分野の作業に必要かどうかを調べて、必要であれば購入を検討するスタンスで問題ないと思います。

が、ITやコンピュータの翻訳分野ではかなり普及していますので、この分野を目指す場合は必要になるはずです。

お金を貯める人も

フリーランスになると決めていても、仕事を出してくれそうな取引先がない場合は、翻訳の仕事だけでは収入の目途が立たないこともあるでしょう。

そのような場合に備えて、何か月かは仕事をしなくても生活できるように、貯金をする人もいます。

取引先がゼロの状態で、翻訳会社に登録して翻訳の仕事を獲得しようとする場合、トライアルを受けてから合否の結果が出るまでは時間がかかることがあります。

また、結果が合格で登録できた場合でも、すぐに仕事が来るとはかぎりません。

お金の心配をしながら仕事を待つのも不安だと思うので、生活資金がある程度ためてあれば安心かもしれません。

ちなみに、未経験から翻訳会社に登録してフリーランス翻訳者を目指すステップについては、こちらの記事にまとめてあります。

未経験から在宅のフリーランス翻訳者になるためのステップ
フリーランスの翻訳者になってから、この記事の執筆時点で6年ほど経ちました。在宅で翻訳の仕事をして生計を立てるというのは謎な部分が多いようで、...

まとめ

パソコンの説明にかなりの部分をさいてしまいました。しかし実際、翻訳の作業はパソコンの前でやることがほとんどであり、パソコンに対する操作はほぼ訳文作成のための作業なので、作業環境面ではもっとも重要になると思います。

この作業環境面を安定したものにすることで、作業の効率や品質を高めることができるはずです。また、何よりも、仕事をするときに安心して作業できるようになります。

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