コロナ禍に地方で感じた、フリーランス翻訳者という仕事のすばらしさ

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新型コロナウイルス感染症の流行で世界的に大変な状況が続いていますが、地方でフリーランス翻訳者をしていて感じたことを今回は書いてみたいと思います。

在宅で翻訳の仕事をできることのありがたさ

コロナ禍になってからまず一番強く思うのが、この仕事を、このフリーランスというスタイルでしていて本当に良かったということです。

というのも、個人的には経済的な面で言うと流行初期の3月や4月頃は少し売上が減少したものの、今までのところ影響はかなり限定的で、最近ではむしろ仕事のご依頼が増加傾向にあるからです。

また、最初から在宅で仕事をしているので、通勤や仕事での感染リスクもなく、仕事のスタイルを変化させる必要もなければ、それに伴う混乱もなく、ライフスタイル自体にも大きな変化はありませんでした。

緊急事態宣言が出たりした影響もあってか売上が少し減った頃は、この先大丈夫なのか?と少し不安になったりしましたが、今はこの業界で仕事をしていてよかったなぁと日々思い、業界にもお客様にも感謝しながら毎日を過ごしています。

特に流行初期など、フリーランスで仕事をする人が大きな影響を受けているとメディアでもよく取り上げられていましたが、同じフリーランスという形態でこれほど影響がない職業はなかなか珍しいのではないでしょうか。

地域の経済に影響されないメリット

しかし、これがほかの業種だったり、地域に根差したビジネスの場合などはそうもいかないと思います。地方に住んでいて、地元の企業に勤めたりしていれば地域の経済状況の影響を受けるでしょうし、その勤め先が中小企業ならさらにその影響を受けやすいかもしれません。

でも翻訳の仕事なら、個人事業主として仕事をしていても取引先は世界中にあります。たとえば、私の場合、取引先は東京にあるほか、ヨーロッパやアメリカの企業からもご依頼をいただいています。

この点でもやはり、個人で仕事をしているのにこれほどグローバルな経済のなかで活動できる職業は珍しいと思います。しかもそれが在宅でできてしまいます。

翻訳作業に加え、いろいろな国の人と日々英語でやりとりしていると、「地方のこんな田舎に住んでいるけど、実は自分は今、国際社会の中で活動してるかも!」という実感があって楽しいです。物理的にやっていることはPCの前に向かってキーボードを打つ、というそれだけではありますが。

実はもともと進んでいた翻訳業界

よくよく考えてみると、そんな働き方ができる環境は、翻訳業界ではかなり前からすでに整っていました。私が翻訳業界で働き始めたのは今から15年ほど前ですが、フリーランス翻訳者が在宅で仕事をするのはその頃すでに一般的だったのです。

なので、自分自身がフリーランスになって在宅で仕事を始めることが特に珍しいこととは思わなかったですし、フリーランスになると同時に地方で暮らし始める、ということにもあまり不安はありませんでした。なぜなら、翻訳業界にはそんな人がたくさんいるのを知っていたからです。

そういう働き方の点では、翻訳業界は以前から進んだ業界だったのかもしれません。

個人的にはリーマンショックではなく、東日本大震災を思い出してしまう

新型コロナが経済に与える影響を説明する際にはよく、リーマンショックのことが引き合いに出されます。しかし、私が個人的に思い出すのは2011年の東日本大震災です。経済というよりも、健康や安全に関する脅威という点ではこちらの方が強く印象に残っています。

当時私は都内の翻訳会社に勤めていましたが、仕事をしているときに地震が起き、その後も都市が災害に襲われた際のリスクや、災害時の都市機能の脆弱さを身をもって知ることになりました。この頃、同じように感じられた方は少なくなかったはずです。

この体験が関係していたかどうかはわかりませんが、その後、半年もしないうちに私は体を壊してしまい、1か月ほど会社を休み、病院で入院生活をしなければならなくなりました。

ちょうど30歳になったこの2011年、入院生活を送りながら私が考えたのは、もともと田舎者だったからか都会での暮らしにどこかで違和感やストレスを感じていたということでした。

また、もしこれから結婚して子どもができたら、自然のあるのびのびとした環境で子育てしたいなぁと思ったこと、そして高校の頃に父を病気で亡くしていたので、母を一人田舎に残してきたことが頭をよぎりました。

そしていろいろなことに思いをめぐらした末に、自分が「こうしたい」と思うことや、将来の生活を見据えて一番可能性を与えてくれそうな選択肢として、フリーランスになることを選びました。

東京には大学時代から12~3年ほど住み、仕事にはやりがいを感じていたので病院を退院してからも会社で仕事を続けることができたかもしれません。

しかし、この先東京に住み続けていたらもっと危機的な状況に見舞われるかもしれない…という不安も感じていました。

そして、それから9年経った今、新型コロナによる危機が訪れています。

都市で生活するリスクについて、同じように感じている人もいるのではないでしょうか。

一般にあまり知られていない、フリーランスの翻訳者という働き方

そうしてフリーランスの翻訳者として働いて9年ほどが経ちましたが、自分にはすごく合っていて、ライフスタイルも働き方もすごくいいなぁと感じています。その後結婚して生まれた子どもも、自然豊かな環境ですくすくと育っています。

しかし、一方で思うのは、語学力を生かしながら、好きな仕事をしながら、そして好きな場所に住みながら、こういう働き方ができるということは一般にあまり知られていないということです。

すでに翻訳者になっている人や業界の人は知っていても、一般にはほとんど知られていない未知の職業のようになっている気がします。また、翻訳を学習する講座はたくさんあっても、どうすればそれを職業にできるのかを取り扱う講座は見たことがありません。

そんなわけで、私と同じような思いを持った方には本当におすすめの職業ですが、どうすれば仕事にできるかというのを知る方法があまりないので、このブログを書いたり先日公開した講座を作ってみたりしています。

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