実務翻訳の仕事を継続的に受注するには?

前回の記事では、翻訳分野のなかでも仕事にしやすい実務翻訳について紹介し、安定的な受注を確保すれば専業で続けていける点について説明しました。

私も実際に専業で5年ほど実務翻訳の仕事をしています。嫁さんは専業主婦で、最近生まれた0歳の子供がいますが、今のところ問題なく生活できています。今後も大丈夫だと思います…たぶん(笑)

というわけで、前回の記事で予告したとおり、今回は実務翻訳の分野でどのようにして最初の仕事を獲得し、それを継続的な依頼につなげていくのか?ということをテーマに書かせていただきたいと思います。

取り引き先は?

仕事をくれるところがないと、仕事を獲得することはできません。なのでまずは、お客様となる取引先から考えたいと思います。主なところは、以下のようになるはずです。

  1. 企業の顧客から直接受注
  2. 翻訳会社から受注

最近はクラウドソーシング系のサイトなどもあるのでほかにもあるとは思いますが、実務翻訳だとこのあたりが主なお客様になると思います。では、それぞれどのようにすれば仕事を獲得できるのでしょうか?

1. 企業顧客から直接受注

「今日から翻訳者やります!仕事ください!」と言って仕事をもらうには、そのお客様がそもそも仕事を持っていないといけませんし、信頼関係がないと依頼してもらえません。実績がないとなおさらです。

なので、何らかの形で人脈を築けていないとこのパターンは難しいでしょう。築けていたとしてもお客様が企業(法人)だと、「そっちも法人化してもらわないと取引は難しい」ということを言われたりもします。

実際、私の知り合いには翻訳者になった1年目から法人化して会社を設立した人がいます。幸い依頼は継続的にあるようなので、その人の場合は順調そうです。

しかし、たとえば依頼が急に途絶えたら…とか、逆に受けきれない量の仕事が来たら…などの場合を考えると、翻訳以外のこともいろいろとしないといけませんし、そういったことをできる能力がないと難しいはずです。

そう考えると、最初からこれをやるのは、なかなかハードルの高い仕事の獲得方法だと思います。(1年目から会社を設立した私の知り合いは、複数の翻訳会社での勤務経験を積んでいました。)

2.翻訳会社から受注

実は、翻訳会社の多くは、社内に翻訳作業を担当する従業員をかかえていません

顧客企業から依頼される仕事の増減に対応できるよう、社内にかかえる翻訳者は最小限にし、固定費や人件費がかかりすぎないようにしているところがほとんどです。

そういうわけで、翻訳会社が受注した翻訳の作業は、その翻訳会社に登録されているフリーランスの翻訳者に外注されることが多くなります。

つまり、そのような「登録翻訳者」になることで、翻訳者は仕事を受注できます。

実務翻訳者に最も多い仕事のしかたは、この「翻訳会社から受注」だと思います。各翻訳会社のホームページや、翻訳者向けの登録サイトなどに募集が出ているので、これに応募することで登録できるようになっています。

ただし当然、選考があります。翻訳会社ごとでその内容は異なりますが、履歴書や職務経歴書の審査などに加えて「トライアル」と呼ばれる翻訳の試験のようなものが課せられる場合がほとんどです。

まずは翻訳会社に登録

というわけで、フリーランスの翻訳者は、まず「トライアル」を含む選考試験に受かって、翻訳会社に登録するところから始められる方がほとんどだと思います。いくつか取引先があると受注も安定するので、ひとりの翻訳者が複数の翻訳会社に登録することも珍しくありません。

ちなみに私は、というと、もともと翻訳会社に勤めていたので、選考もトライアルもなしで前の勤務先に登録してもらうことができ、これが最初の登録会社になりました。

その後、取り引き先を増やすべく翻訳者向けの登録サイト2つに登録しました。そこに出ていた選考をいくつか受け、受かったり落ちたりしながら複数の翻訳会社に登録させていただいています。

登録しても必ずしも仕事をもらえるわけではありません。また、何らかの理由があって仕事を断ることが続いたりすると、仕事の打診自体がなくなってしまうこともあります。

私の場合も、登録しても打診がなかったり、何件か依頼をいただいた後、取引自体がなくなってしまった会社もありますが、現在はコンスタントにご依頼をくださる翻訳会社が2社あります。大部分はこの2社からのご依頼でスケジュールが埋まります。

翻訳会社経由でなく、直接ご依頼をくださる企業や個人のお客様もあるので、依頼があった場合には、そのような直接受注の案件にも対応させていただいています。

では次回は、翻訳会社のトライアルに受かるための戦略や、取り引きのしかたなどについて取り上げる予定です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする